だれかになりたくて、付け焼刃のように服をどんどん増やす時期がありました。なにを着ていいのか正解がわからなくなるとき、私は洋服迷子になってしまいます。
「衣・食・住」と言われるように、服は生活必需品のはず…と言い聞かせてしまいます。「食品」みたいに腐るわけでもなく、「住居」ほど高価なものではないため、「衣類」は、気を付けないと必要数以上にため込みがちです。
私は、骨格診断のプロではありません。
顔タイプ診断のプロでもありません。
整理アドバイザーの資格も、ファイナンシャルプランナーの資格もありません。
そのため、誰かになにかをアドバイスする立場にはありません。
でも過去の自分には、色々言ってあげたいことがたくさんあるようです。
ふと思い出す、悩んだり傷ついたり、泣いたりしてた過去の自分が言ってもらいたかったことがあるようです。
昔々、バイトの先輩と初めてダーツバーに行った時のことでした。
女子4人で、一件目でご飯を食べながら楽しく軽く飲んで、二件目はほろ酔い気分で初めての「ダーツバー」というものに行きました。
大人しか踏み入れない世界にわくわくしたのと、酔っぱらった大人がダーツで遊ぶという、大人っぽいのか子供っぽいのかよくわからないかんじが私の笑いのツボにはまってしまいました。
お店のドアを開ける前から、笑いが止まらなくて、まだダーツも手にしてないうちから、もうそれだけでおかしかったんです。
そんな笑い上戸になってしまった私の酔いが覚めた瞬間がありました。
トイレの鏡に、私の隣に先輩が並んだ時でした。
先輩の足の長さに驚きました。
背が高く、並ぶとこんなにも違うものかと愕然としました。
素人判断ですが、骨格診断で言うところの、先輩はモデル体型のような「骨格ナチュラル」だったのではないかと思います。
そのときは骨格診断なんて知らなかったから、先輩が正しい姿で、私はまだまだダイエットが足りないのかなと、コンプレックスを刺激されて帰りました。
そもそも身長も、足の長さも。骨格自体も、きっと違うので、ダイエットしても、先輩になれる日は来ないのです。
完全に努力する方向を間違えていたようです。
もしあのとき、骨格診断を知っていたら、やみくもにダイエットに走ることもなく、いつも着るものがない!と洋服迷子になることも少なかったんじゃないかな。
「そのまんまでいいんだよ~」と自分で自分を許してあげたらもっと楽だったのにね。
あれからダーツバーに一度も行っていないなぁ。
あの日からもうすぐ20年の時が流れたことになりますが、何者でもなく私は私のままでした。
そのままの自分の姿を受け入れられたら、洋服迷子の迷宮から少し抜け出せたような気がします。