午後のうたたね

ゆるミニマリスト風主婦がふらふら漂う日常

ピンクパンサーといっしょ

久しぶりに実家のダイニングテーブルの席に着いたとき、ピンクパンサーと目があいました。

席に座るとちょうど目の高さと同じ位置にある、透明の収納ボックスの中からこちらを見ています。

眠そうな目で静かに見ています。

でも、私は見て見ぬフリをして、その引き出しを開けることなく、実家をあとにしました。

もういなくなったとばかり思っていた、薄汚れた彼(ピンクパンサーのことです)の表情は、不敵な笑みだと思っていましたが、今日は心なしか眠そうに見えます。

 

私が学生だったとき、リュックにピンクパンサーのぬいぐるみキーホルダーをぶら下げていました。

紺色のリュックに、薄いピンクがよく似合っていると思っていました。

つまり、気に入っていたのです。

同じクラスの友達とお揃いのものでした。

なぜピンクパンサーを選んだのかというと、理由は単純でした。

体育祭で私のクラスは、ピンクチームだったことがきっかけでした。

ピンクといえば、あのパンサーしか思いつかなかったので、応援旗にピンクの絵具をふんだんに使ったパンサーの絵を描いたことが始まりでした。

ほかの人とあまりかぶることのない仲良しとのお揃いは嬉しいものでした。

ピンクパンサーのアニメは見たことがなくて、キャラクターだけが勝手に私の物語に入り込んで住み着いているようです。

 

卒業後、リュックから外された瞬間、躍動感を失ったピンクパンサーは、役目を終えてしまいました。

保管するとすれば、実家の私の部屋で保管されていたはずです。

今は、実家のリビングの収納ボックスに移動しています。

そのことから、今の持ち主は私ではなく、家族の誰かのはずです。

収納ボックスの位置からして、ピンクパンサーが眠る場所は、キーホルダー置き場です。

外に出るタイミングを虎視眈々と、狙っているのでしょう。

持ち主が私ではなくなったおかげで、すぐに手放されるタイミングを失ったのでした。

家族の誰かの管理下になったおかげで、ビングの守護神さながら見守っているのかな。

 

ピンクパンサーがまだいると知ったとき、全く心が揺れなかったといえば、噓になります。

なぜ、透明ボックスを開けて手に取らなかったのかと、思い返すと「面倒だった」の一言に尽きます。

何が面倒だったかって、手に取ると、その瞬間「手放す」か「残す」か考えることになりそうなのが面倒だったので、見て見ぬフリをしたのでした。

もしも、懐かしい衝動にかられて写真なんて撮って、ブログにアップしてしまえば、遺影になってしまいそうです。手放すまでの一連の流れです。

実用性のあるなしで言えば、「なし」のはずのピンクパンサーを珍しく捨てたくないんだな。ひとまず問題を先送りにします。

そんな訳で、次回また実家のリビングのダイニングテーブルの席から、透明ボックスごしにピンクパンサーの様子を伺いに行こうと思うのでした。