一人の時間は大切です。
でも、だれかとおしゃべりするのも好きです。
たくさんの人とたくさんの時間を過ごすととても疲れてしまいます。
なので、間をとって…と言っていいのかわからないけれど、「静かに人を観察するのが好き」です。
となると、一人が好きなのかもしれません。
その観察したことの報告を誰かにこっそり聞いてもらえたら嬉しいです。
十字路の交差点で、私は信号待ちをしていました。
ふと、交差する歩道に目をやると、パンくずか何かをちぎってスズメにエサをやっているおじいさんの熱心な背中が揺れています。
5,6羽、チュンチュンしている中、なかなかエサにありつけない子にも、まんべんなくやろうとしている様子です。
なかなか的確にエサを投げています。
もしここが公園だったら、のどかな光景に見えるところですが、そこは道のど真ん中。
中学生たちの通学路でもあります。
中学生がおじさんに驚きつつも、おいじさんとスズメたちに気を遣いながら、道の端を足早に通り過ぎています。
信号が青に変わったので、横断歩道を渡ろうとしました。
スズメのおじいさんも、ひるがえって、足早で通り過ぎました。
すれ違うとき、もぐもぐしているおじいさんと目が会いました。
あ、食パンじゃなくて、バームクーヘンだったのか。
勝手にパンの中でも一番安い食パンをスズメにあげているのだと、思い込んでいました。
実は、私も今日の「こっそりおやつ」はバームクーヘンだったのです。
百貨店に売っているような大きな丸い円になっているバームクーヘンだと、包丁で切ってお皿にのせて、と仰々しい特別なおやつになってしまいます。
コンビニやスーパーで売ってるような、個包装になっている指でつまめるぐらいのサイズのひとくちバームクーヘンです。
お砂糖が溶けた白っぽい外側の高級品ではありません。
スズメたち、カラスやハトに見つかる前に、こっそりいいもの食べさせてもらえて、よかったね!
おじいさんの信号待ちの暇つぶしだったのかもしれません。
スズメと知らないおいじさんと私の今日のおやつはバームクーヘンです。
今日は独り占めするんじゃなくて、家族の分のバームクーヘンも買って帰ろうかな。
せっかくなので、小さなつづらにでも入れてわたそうかしら。
では~