観葉植物のあるおうちに憧れはありました。
先日うちも「ドラセナ」という観葉植物を家に飾ることになりました。
彼は、脇役として家へ迎え入れられたにもかかわらず、他の花たちにはない生命力の強さを私に見せつけたため、今は主役として、キッチンカウンターという一等地に根を下ろすこととなった数奇な運命の持ち主でした。
「ドラセナ」という名前とその佇まいから、「彼女」ではなく「彼」と表現してみました。
フランス語には単語に性別が決まっていて、「植物」の意味を表す「plante」は、は女性名詞にあたるのですが…そこらへんは、雰囲気と勢いだけで気にせず書いていきます。
彼との出会いは、まだ残暑の厳しかった9月の下旬のことでした。
(あ、「彼」って「ドラセナ」のことですよ。)
こどもが習い事から、花束をもらって帰ってきたことがありました。
その中に彼がいたことに「全く気がつかなかった」と言うのは語弊になりますが、「気にも留めなかった」ということが正しいと思います。
彼のことは、お花の引き立て役として添えられた「葉っぱ」だとしか思っていなかったので、名前があることすら知らないまま、数週間が過ぎました。
私は、植物を小まめにお世話できる訳でもなく、虫も苦手なので、植物を家に置くこと自体、極力避けていました。
毎日水を変えるわけでもなく、目視で水が濁ってきたらそろそろ水を変えないといけないと思いつつぐずぐずといつも後回しにしていました。
そんな過酷な状況の中、次々枯れゆく花を尻目に、彼だけは逞しく凛としていました。
いつが捨てどきかな〜と少し濁った水を新しいものと取り替えるため、彼を持ち上げると、白ひげのような短い根っこを伸ばし始めました。
はじめその白ひげを見たとき、またカビさせてしまったのかと、ドキリとしましたが、よく見ると根っこのようでした。「生きよう」としているようでした。
そのかわいらしい白ひげと逞しい生命力に少し愛着がわいてきてしまいました。
彼の名前を知りたくなったのは、その白ひげを見たときでした。
例の線路のホームと化した図鑑にはやっぱり載っていなくて、結局こどもに習い事先で名前を聞いてきてもらいました。
彼に「ドラセナ」という、観葉植物に疎い私でも聞いたことのある有名な名前があると、この時点でやっと知ることが出来ました。
今はとりあえず「ドラセナ」と答えます。
そして、今慌てて「ドラセナ 育て方」で検索しています。
彼の運命やいかに…
名前を知らなかったときは、見向きもしなかったのに観葉植物だとわかったとたん、大事にしようとするなんて、ちょっと恥ずかしいですね。